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だが、僕は彼女を見ながら別のことを考えていた。
僕の透明化は服ごと、メガネごと消える!
眼鏡を外してみても、眼鏡が見えない。
体がガタガタと震えだした。
試みに眼鏡を机の上に置いた。
僕の手から眼鏡が離れると、眼鏡が出現した。慌てて僕は眼鏡をかけ直した。これで眼鏡は消えたはずだ。
左横の加藤が訝しげにこちらを見ている。
自分自身の目を疑っているのか、何か考えている様子だ。
僕を見ているのか、さっき置いた眼鏡を見ているのかどうか、わからない。
いや、もうそんなことはどっちでもいい。
この状況を整理する。
僕の身に着けているものは透明化し、僕から離れれば見えるようになる。
そういうことだ。
けれど、一つおかしなことがある。僕の後ろの席の速水沙織にはおそらく僕が見えている。
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