授業中に発症

4/6
前へ
/2019ページ
次へ
 だが、僕は彼女を見ながら別のことを考えていた。  僕の透明化は服ごと、メガネごと消える!  眼鏡を外してみても、眼鏡が見えない。  体がガタガタと震えだした。  試みに眼鏡を机の上に置いた。  僕の手から眼鏡が離れると、眼鏡が出現した。慌てて僕は眼鏡をかけ直した。これで眼鏡は消えたはずだ。  左横の加藤が訝しげにこちらを見ている。  自分自身の目を疑っているのか、何か考えている様子だ。  僕を見ているのか、さっき置いた眼鏡を見ているのかどうか、わからない。  いや、もうそんなことはどっちでもいい。  この状況を整理する。  僕の身に着けているものは透明化し、僕から離れれば見えるようになる。  そういうことだ。  けれど、一つおかしなことがある。僕の後ろの席の速水沙織にはおそらく僕が見えている。
/2019ページ

最初のコメントを投稿しよう!

733人が本棚に入れています
本棚に追加