西陽差す高級車の長い時間

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「あの時・・私は少し妬いたよ」 「え?」 「私も・・あんな風に誰かに思われたいものだ」  そう言って青山先輩は再び視線を前方に戻した。 「違いますよ・・あれは・・僕が小清水さんに対してしたことは、応急措置みたいなもので、特に意味はないです」  あの時、僕はどうすればいいのか、分からなかった。   ただ、目の前の人格の変わった小清水さんが、彼女の心が震えている・・そんな気がした。 「そうだったかな?・・私には、君の沙希ちゃんに対する強い思いを感じたのだが・・」  僕の小清水さんに対する思い?  違う。 「そんなんじゃないと思いますよ」僕は更に否定した。  そう頑として否定する僕に青山先輩は、 「君は、自分で気づいていないところで、沙希ちゃんを守っているんだよ」と言った。  青山先輩は僕を買いかぶり過ぎだ。 「違いますよ・・青山先輩・・僕は」  僕は誰も守ったりしていない。  もし、僕が誰かを守るとするのなら・・  その相手は僕が恋する人だ。  今、僕が好きな人は・・やはり水沢さんだ。  けれど、水沢さんには、石山純子の時のような不器用な告白はしない。
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