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「速水部長は・・部室にいるような気がします」そう僕は言った。
速水さんには悪いけれど、僕は眠くなる場所が多くある。この車の中だって・・
そう思った時、
なぜか、青山先輩が僕の顔を凝視しているのに気づいた。
僕を食い入るように見ている。
そんなに見つめられるとさすがに恥ずかしい。
!・・
しまったっ!
僕は車の揺れに身をまかせながら、長く思考を重ねていたのだ。それが同時に睡魔と闘っていることに気がつきもしないで。
念のために腕と胸元、足元を見る・・やはりゼリー状だ。
・・透明化している。
どうすりゃいいんだよ!
ここは逃げ場なしの車の中・・完全密室だぞ!
時速50キロ以上はある走る車の中、降りることもできない。トイレに逃げ込むこともできない。
心臓がドクンドクン飛び出そうなくらいに脈打つ。
・・だが、おかしい。
青山先輩は僕の顔から視線を外さないでいる。
もしかして、青山先輩には僕が見えているのか?
小清水さんや妹のナミのように、中途半端な半透明状態で。
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