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初老の紳士・石坂氏の過去
◆初老の紳士・石坂氏の過去
青山先輩は話を元に戻すように、
「それで、石坂の若い頃・・何かあったのか?」と続きを促した。
すると石坂さんは、
「私は、灯里さまがこの世にお出でになる前から、青山家で運転手をしております。もちろん、運転手以外にも、私のご主人である灯里さまのお父上の海外出張などに備え、語学も勉強しましたし、ある程度の交渉術も身に付けました。ボディガードの役割もできるよう武道も習いました。そんな私を青山さまは高く評価してくれました」
と詳しく説明する石坂さんに青山先輩は、
「いや、そんな青年の頃の話ではなく、石坂の思春期の頃のことだよ」
石坂さんは「そうでしたね」と笑って、
「私の家は満足に進学もできないほど、貧しかったのですよ」と切り出した。
「そうだったらしいな」
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