「龍平洋漂流記」より「NANA」

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「NANA」(2005公開)…シド・ヴィシャス風 50年近く昔の話、少女雑誌の付録に「着せ替え人形」というのがあった。人形と言っても厚紙に少女漫画作家の描いた女の子がカラー印刷してあるだけで、自分でハサミで切りぬいて使う。同じ厚紙には流行のワンピースドレスやパンタロンスーツ、バレリーナのチュチュやウエディングドレスが印刷してあって、切り抜くとお人形にぴったり重なるようにできている。お人形自体は白いシュミーズ(今は無きワンピース式の下着)姿、様々な衣装は肩の上の余白を折り返すと留められるようになっていた。 私はまだ幼すぎて少女雑誌を買ってもらえなかったけど、6歳年上の親戚のお姉さんが、この着せ替え人形を集めていて、お菓子の紙箱にごっそり入れていた。お姉さんの家に遊びに行くと、それを出してきて一緒に遊んでくれる。着せ替え人形と衣装のいっぱい入ったその箱が、私にはどんなに魅惑的だったことか。 映画「ナナ」は、その夢の着せ替え人形の箱を開けたような映画だった。少女マンガの実写化だから登場人物は皆キレイで、かわいくて、かっこよく、現実味がない。少女ではない上に、普通に男女が恋愛する少女漫画を全く読まなかった私には、もう恥ずかしくて恥ずかしくて、あっ、とか、くうーっとか呻いて途中で逃げてしまいたくなったが、なんとか半分観た。観ないわけにいかない。だって21歳の松田龍平は、跳ねあがった眉毛なうえ、シド・ヴィシャス風コスチュームの花のような男ぶりだ。 …続きは「龍平洋漂流記第4章 夢の男」にて公開中です、続けてお読みくださいませ
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