向日葵の花言葉

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初めて訪れる場所・初めて見せる顔・初めて思う事。たかが小旅行かもしれないけどとても楽しくこのまま時間が止まってしまえばいいなん て思っていた。自分の将来も大事だし彼との時間も大事だし1日が24時間以上あった のならいいのになぁとたまに一緒にいる時間が出来ると 邪( よこしま) な自分が顔を覗かせた。愛 しい人といることはこんなにも心に潤いを与え色を付けるのだと思った。今までも周り の景色や町並みには色はついていたけれど気持ちが満たされるという事はこんなに風景 を変えてしまうものだと実感した。 楽しい時間というものは、あっという間に過ぎてしまうもので気付けば旅行最終日。 今日彼が前から言っていた連れて行きたい場所に私を連れていってくれる日だ。そう思 うと心がウキウキして止まらない。そんな私と相反するようにソワソワし出す彼。いつ も落ち着いている彼が珍しく挙動不審な様子に違和感を覚え、まさかこの幸せ絶頂の末 路に別れ話でもされるのかと嫌な予感が頭をよぎった。もしもそうだったとしたなら思 えばこんな立地条件がいい人と付き合い夢のような時間を送っていた事自体が奇跡的な 事だったのだと、短い幸せを噛み締めながら心の準備をした。 その時『着いた!』と彼は叫び車を停めた。 頭の中がネガティブの渦で覆われていた私は、その声にビクッとしながら我に返り車の 外を見て驚いた。 その瞬間、私の目に飛び込んできたものはすぐに私を車から降ろしてその光景を視界に 吸い込ませた。それは何にも遮られることもなく咲き誇るひまわり達が命一杯顔をこち らに向けていた。まるで絵画を思わせるかのような、澄み切った青い空と黄色い海との コントラストは見事なまでに絶景で息を吸う事さえも許さなかった。 すると隣にいた彼が物凄い勢いでこちらを向き 『今日で付き合って 1年。結婚前提に同棲しませんか?』とポケットから 1つの鍵を差 し出しながら突然の告白。 私は思考回路が止まり頭が真っ白になった。 余りにも突然の事に固まっていると彼は不安になったのか『……返事はゆっくり考え… …』の言葉に急に我に返った私は慌てて『ハイ!住みます!一緒に住みます!』と返事 を返した。すると彼も彼で拍子抜けしながら『本当?本当に?良かった~!』とハニカ ミながら満面の笑みを浮かべる彼。
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