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ライフラインが集中攻撃されている。明らかに戦争行為だ。美術品を装ったソードや宝珠が異世界の珍品として多数輸入されており、魔法の研修に訪れた魔導士が弟子たちを洗脳してそれらを活性化させた。
タガの外れたマジックアイテムがあちこちで効力を発揮し、警察本部や自衛隊基地は使い物にならなくなった。
そして異世界のゲートから無数の翼竜が飛来した。早期警戒機はレーダーを幻惑され、スクランブルした戦闘機は迎撃ミサイルを放つ前に炙られ、イージス艦は魔法の闇に封じ込められた。
そして海の底からリヴァイアサンやクラーケンが護衛艦に襲い掛かる。
「畜生。地獄に撤退すると見せかけて伏兵を潜ませていやがった」
俺は完全に盲点を突かれた。確かにチートの力を借りて地獄を除く全世界(悪魔にも生きる権利はある)から諸悪を滅ぼした。しかし、地球特有の未確認生物(ネッシーや雪男のたぐいだ)は温存しておいた。ロマンスまで葬る必要はない。それが命取りになった。
「伝説上の生き物が狂暴化することぐらい想定しなさいよ」
メリダはまだ俺の側にいるようだ。
「策はあるんだろうな?」
俺が甘い期待を寄せると彼女は冷や水を浴びせた。
「出来るならとっくに退治している。回線を開くわよ」
メリダはずかずかと店の奥に踏み込んでいく。
「おい、何をするんだ? 店を壊す気か」
狼狽えるマスターをよそに彼女はめりめりっと水晶玉を引っぺがした。
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