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「魔王に直談判するのよ!」
彼女が指で宙に魔法陣を描くと地獄の底から怒号が沸き上がった。
呼びたてホヤホヤの魔王はすこぶる機嫌が悪い。
「この俺様を誰だと思って……」
「英雄王ヨシヲじきじきの申し立てよ。ホラ」
俺はメリダに背中を押されて前に出た。
「かくかくしかじかで」
かいつまんで苦情を訴えると魔王は哄笑した。
「ふーはっは! 下等生物どもが本能に従っているまでの事。わざわざこの俺様に教えを乞うまでもなかろう」
いちいち腹の立つ奴だ。俺は念を押した。
「無関係だというのか」
「痴れ者め。いちいち管理しておれるか」
魔王は手をひらひらと振って通話を切った。
「汚い。魔王とことん腹黒い」
見え見えの自演に対して手も足も出ない自分が情けなかった
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