サラリーマン生活の始まり

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サラリーマン生活の始まり

それから数ヶ月すると、先輩から仕事を教わった僕は一人でできるようになり、佐藤先輩は自分の仕事に戻った。その頃には一年経って新入社員を迎える時期に入った。 去年の僕は何がなんだかわかってなかった。慣れた頃に後輩が入ってくる。新入社員は入社前だから、彼らを除く社員で花見をすることになった。僕は、出席することにした。 当日は僕たちで場所取りをし、日が暮れると役員や上司・社員が続々と集まった。社長の挨拶で宴会が始まる。それが済むと、各自のコップにビールを注ぎ乾杯の音頭をとった。 桜の木の下での飲み会はキリがいいところで二次会に入った。ここで中座する者がいるので、スナックでカラオケをする者は最初の時より人数が減っている。それも終わりになると、タクシーで帰っていく。幹事である僕は、思い切り飲むことができなかったが、それでもやれる事をやりきって胸を撫で下ろした。 次の日は土曜日である。上の人は出社する。現場の人は、休みにした。技術課は出勤をするのだ。僕は仕事に出て、定時で帰った。桜の木の下を通りながら花が咲いた木を眺めた。 桜の花が散った頃に入社した僕は、どう仕事をするのかすらわかってなかった。今でも、腕の良い先輩とはなってない。多分他の人が新入社員を教育するのだろう。数年後もこの会社にいるか今の僕にはわからない。とにかく、今の課題を片付ける事に集中しかない。どんなに叱られても、クビが繋がっているだけマシだ。 そう考えながら並木道を通ると、桜の木がある道から出て自宅へと向かっていった。 家に帰ると風呂に入り、風呂上がりのビールを飲んだ。その後、花見シーズン限定とラベルが貼ってある惣菜のトレーに被せてあるラップを開けてそれをおつまみとして食べたら、しばらく洋画を見た。 今僕がいる桜の花が咲いてる所とは全然違う舞台で撮影された内容に引き込まれた。時代も気候も違う画面は2時間をまるまると使い、しまいにはクライマックスを迎えると黒い画面に出演者の名前が表記された。 それが済むと放送終了のお知らせを迎えたので、スイッチをオフにして床に入った。 まだ独身である僕は、明日はゆっくり過ごすことにした。
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