1章

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学校に戻った僕はかなり忙しくなった。入院していた時の勉強もあったし、友達との付き合いもある。期末テストも近かったし、しばらく彼女との連絡は途絶え途絶えだった。 期末テストも終わり、時間もできた僕は彼女に改めて連絡をした。 した、のに返ってこない。なんでだ?しばらく待ってみることを決めたのだが、1週間経っても一向に返事は来ない。 彼女がまだ入院していることは、知っていたので一度病院に行ってみることにした。 いつものあの部屋に彼女は、いなかった。 部屋を移るなんてざらにあるから、ナースステーションかなんかで場所を聞いてみるか。 「お久しぶりです。××ですが、○○さんの部屋はどこですか?」 「○○さんね、こないだ亡くなったのよ。」 信じられなかった。あんなに元気だったのに。一緒にライブ行こうって約束したのに。あんなに嬉しそうだったのに。笑顔だったのに。 「○○さん、あなたと会って急に元気になったのよね。あんなに元気がなかったのに。 あ、これ、○○さんからあなたに渡すように言われてたもの!」 それは彼女がスマホにつけていたストラップだった。それにはメモがついていた。 「あなたと話せて楽しかった。私はもう治らないことは決まっていました。果たせない約束をしてごめんね。でも、約束をしてくれたことが嬉しかったのはホントです。私の代わりにこのストラップを連れて、ライブに行ってください。そしたら、私も聴けるはずだから。もう1回だけ約束させてね。」 僕は今、彼女が好きだったバンドのライブにいる。最前列だ。ポケットのスマホには今もあのストラップがついている。
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