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「社会主義にはインフレがないからねえ。」
奇妙なことを言うものだ。今はデフレの時代ではないか?
そう孝三朗は思ったが、学生運動の闘士からは何もかも社会主義の方が良く見えるのだろ う。
見ると、京都の町の至る所に赤旗があり、レーニン像があった。
孝三朗は、一夜の宿を外人専用の高層ビルに選んだ。
高層ビルの最上階からは京都の町がよく見えた。
なぜか盆地であるはずの京都の町は神戸か横浜のように斜面になっていた。
そのホテルに突然同じ大学出身の小山先生が現れた。
「嶋君、僕のアパートにおいでよ。」
そう言ってくれたので、孝三朗は小山先生の車に乗って高層ビルを後にした。
そして、小山先生のアパートの到着した。小奇麗なアパートである。簡素であるが、中は 4DKでかなり広かった。
小山先生は言った。
「今からポンコツ高校へ行くかい?それとも君の先輩の原口君の下賀茂のアパートへ行く かい?」
孝三朗は急に退行した。
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