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誰かが背後から言った。その声は初任校で一緒だった粟野先生に似ている。いや。そんな ことはどうでもいい。早く逃げるのだ。そう思っていると大地がグラグラ揺れ始めた。地震 である。沢山のロシア人が我先に港へ急いでいる。
孝三朗は泳いで国後島へ渡り、そこからまた泳いで佐渡島へ渡った。
ここには食べ物がない。仕方がないので孝三朗はカップ麺を食べた。
そして有名進学校であったヘンジン高校へ到着した。ヘンジン高校の前には神社があって、 そこを生徒の一団が自転車で通っていた。校長と教頭が自転車を誘導していた。
孝三朗は思った。
「こんな進学校でしかも大きな高校は俺には勤まらないな。しかしこの学校には合気道部 があるのでここでお世話になろう。」
そして学校へ入って行った。それにしても窮屈な学校だ。
そう思って窓際に立っていると(孝三朗はこの学校で窓際族になってしまったようであ る)、保護者の集団が現れた。一人の保護者をつかまえてたずねた。
「一体これから何があるのですか?」
「保護者会ですよ。そんなことも知らなかったのですか?」
「分かりました。で、ここは何高校ですか?」
「ここは京都のオンボロ高校です。」
オンボロ高校と言えばエスカレーター式に大学へ行けるお坊ちゃんお嬢さん校である。道 に迷った孝三朗はこんな学校へ来てしまったのだ。その時、その学校の女教師が現れて孝 三朗に意見した。
「嶋先生、こんな所に居られたら迷惑です。」
仕方なく孝三朗は学校を出て銀行へ行った。そして宝くじで当たったお金の一部を引き出 そうとしてキャッシュカードを入れて二万円だけ引き出した。次に記帳をしようと思って 通帳を中に入れると出てこなくなった。孝三朗は当選した宝くじのお金をあきらめた。な ぜかさっきまでいたヘンジン高校への怒りでいっぱいになった。特にお馬鹿大学へ入りた いと言っていた女生徒に対して沸々と怒りが沸いてきた。
「あの馬鹿め。本当にお馬鹿大学へ行くつもりか?」そう思って孝三朗はその女生徒に向 かって大声で言った。
「このブス!」
「何言うの?それセクハラよ。」
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