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まだ小学生ということもあり、隠れていじめるということをあまり知らなかったのだろう。
昼休み中にされることもあり、さすがに教師もおかしいと思ったようで、一人の時に問いただされたことがある。
最初は適当に誤魔化していたが、「じゃああの時は何してたの?あれは?」など、いろいろ聞かれるうちに誤魔化しきれなくなり、話してしまった。
「四年生の3人グループと同じクラスの子が嫌がらせをしてくる」と。
3人グループと言っただけで、担任は察したようで「他の先生にも話してなんとかしてもらうから、安心してね」と言ってくれた。
その時の私は、その意味がよくわからなかった。
「なんとかしてくれる」
「安心して」
私にとっては、嫌がらせや理不尽な扱いが当たり前だった。
だから、そういうものだと思っていた。
これが普通なんだと思っていた。
だから、なんとかしてくれるとどうなるのだろうと、不思議だった。
その日は1日何もされることはなかった。
下校時間までは・・・
下校時間になり、いつも通り登校班で集まって帰路を歩いていた。
登校班のメンバーがわいわい喋りながら歩いている。
その後ろを一人、無言で俯きながらただ歩いていた。
そして学校から少し離れたあたりで、いつものグループの一人が振り返り言った。
「お前、先生にチクったんだってな?」
ビクリと体をこわばらせる私に、もう一人が言う。
「お前のせいで俺らが怒られたんだよ!ふざけんな!」
そう言って私をランドセルごと引っ張り、道路に突き飛ばした。
突き飛ばされた車線には、大きなトラックが迫ってきている。
「お前なんか死んじまえ!」
その言葉は、迫ってくるトラックの音にほぼ掻き消されていたが、私の耳にしっかり届いていた。
近づいてくるトラックが目の前に迫ったところで、私は"死"を覚悟し、きつく目を閉じた。
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