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~ 幼少記の思い出 ~
普通より少し小さなバスに、私は乗っていた。
外見も中も、お花やデフォルメされた動物などが描かれていて、とても可愛らしいバスで、イスも大人がギリギリ座れるくらいの小さなもの。
私は今、保育園の送迎のバスに乗っていた。
これから私が通ってる保育園に向かうのだ。
だが、バスは一向に動きだす様子はない。
保育園に向かうはずなのだが、家の前で止まったまま走らない。
特に不思議なことでもないので、私は大人しく座っていた。
何人か文句を言ったり、駄々をこねたりする子はいたが、それよりもうるさいバスの外に私は無言で目を落とす。
バスの外には私の一つ下の従弟で、同じ保育園に通っている浜哉(はまや)が、行きたくないと泣き喚いていた。
暴れる浜哉を、浜哉の両親と先生が必死になだめている。
これが毎日の恒例なのだ。
いつものことだと慣れると同時に呆れて諦めていた私は、浜哉が諦めてバスに乗るまで冷めた目で見つめながら待っていた。
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