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従弟である浜哉とは、同じ保育園で家も近く、よく遊んでいた。
浜哉は我が儘だったが、明るく、いつも楽しそうだった。
私は遊び相手がいなかったので、そんな浜哉でも遊んでくれることが嬉しく、遊びやその我が儘によく付き合ってやった。
ごく稀(まれ)に、私も自分の悩みを少しだけ話すことがあった。
と言っても、さすがに全ては話せなかったので、「いつも独りでさみしいの」と、そんなかんじのことを呟くくらいだった。
でも浜哉は、そんな私のことを「羨ましい」と言った。
いつも先生と二人きりでお喋りできて、親とも楽しそうだと、そう言ったのだ。
その時私は、暗闇に突き落とされたような感覚に襲われた。
常に冷たかった心が、もっともっと、冷たく暗い場所に堕とされたような、そんな感覚。
・・・孤独だ。
唯一の遊び相手の浜哉でさえ、私のことをわかってくれなかった。
繕っていたとはいえ、勇気を出して言った本音を受け止めてほしかった。
なのに、突き放された。
寂しかった。
「羨ましい」
そんなごく普通の何気ない言葉が、私には、私にとっては、鋭く尖った刃物で胸を突き刺されたように感じられた。
言葉は凶器だ。
私は子供ながらに、それを悟った。
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