目覚めと眠りの果て

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白衣姿のアカネが実験室から飛び出して来る。そして彼女は私の姿を見るなり、あっと声を上げた。 「カイ!意識が戻ったのね!」 そう言って私の両手を取ってピョンピョンと飛び跳ねる。そんな彼女の姿は、とてもこの研究所随一の頭脳の持ち主とは思えない。科学者でも医者でも博士でも無く、幼馴染のアカネとしての行動だろう。 「痛たた!踏んでる踏んでる!」 足元で呻いていたユージーンが悲鳴を上げる。彼女に指を踏まれたらしく、今度は悶絶している。警備対象にやられてしまうボディーガードを見るのは初めてだ。 「ああ、本当に良かった……。」 ユージーンの言葉に全く反応を示さず、アカネは言うとぎゅっと私を抱きしめる。私もそんな彼女をそっと抱き返す。 「心配かけてごめんなさい。私は大丈夫だから。」
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