第1章 肉弾戦最強チート『再々始動』

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下級魔法。この世界には魔法を学ぶ為の学校があり、この下級魔法は日本で言うところの小学生で習い、高学年になる頃に扱えるようになる基礎の基礎となる魔法だ。 しかし、だからと言ってルークは仁を嘗めてこの下級魔法を放ったのではない。自分の婚約者を奪おうとする男とは言え、自分は王国の最強戦力である帝の1人であり、相手は冒険者ですらない一般人。だが自分の目から見ても仁は強者であった為、殺さない為の全力としてこのファイアーボールを放ったはずであった。 「熱いじゃねえか」 「なにっ!?」 しかしオーガの群れをも焼き尽くすはずの火球は、仁の服を焼くことしかできず何のダメージも与えることはできていなかった。寧ろ、服が燃えたことで仁の苛烈なまでに鍛え上げられた筋肉が露わになり、余計威圧感が増す結果となった。 「魔法ってのがどんなものか興味はあった。でもよ、やっぱ俺には合わねえわ」 「……合わないだと?」 「おう。要するに飛び道具だろ?やっぱ強さを決めるのはコイツだろ」 そう言って拳を握り締める。それがルークの逆鱗に触れた。 今の口ぶりから魔法を知りもしないような者が、火属性魔法を極めた帝である自分の前で魔法を侮辱したともとれる発言をした。その屈辱と怒りは自分の魔法が効かなかったという衝撃と驚愕を凌駕し、ルークの理性を鈍らせた。 「魔法教育もまともに受けていない者が魔法を語るな!」 激昂したルークは、殺しはしないと試合前に言っていたことを忘れて強力な魔法を放つ詠唱を始めるが…… 「遅い!」 仁はその隙に一瞬で間合いを詰め、ルークの腹に拳を突き刺した。痛みに悶える暇すらなく意識を刈り取られたルークは、その場に膝から崩れ落ちた。
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