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5大貴族の屋敷ともなればその敷地は広大で、屋敷内には様々な用途の部屋が存在する。仁達が現在居る場所は、屋敷の地下にある闘技場だ。
「貴様か、俺の妻を奪おうという愚か者は」
「おうよ」
王国には、王の護衛や災害クラスの魔物が出現した場合にそれの討伐にあたる「帝」と呼ばれる者達が存在する。火属性魔法を極めた『火帝』、水属性魔法を極めた『水帝』、風属性魔法を極めた『風帝』、光属性魔法を極めた『光帝』、闇属性魔法を極めた『闇帝』、武器を極めた『武帝』の6名である。
そして今仁と対峙している男の名はルーク・ブラウン。歴代最強と言われる『火帝』であり、単騎でドラゴンを焼き殺した伝説を持っている強者だ。
「……なるほど、ただの愚か者ではないようだ」
「お前もかなり強いな」
『火帝』というだけあり、ルークは瞬時に仁が強者であることを見抜いた。しかしルークでは、いや『武帝』以外の帝では仁の本当の実力に気付くことはできない。
「安心しろ、殺しはしない」
「そりゃ優しいことで。俺も殺さねえようにしてやるよ」
「……これを見てもそんな態度でいられるか?」
ルークと仁の間に赤い魔法陣が出現し、そこから巨大な火球が飛び出してきた。
「下級魔法『ファイアーボール』だ。俺の魔力で強化してるから、これ一つでオーガの群れを焼き尽くせる」
「それがどうした」
「……なに?」
「戦いはもう始まってるぞ?ベラベラ喋ってねえで攻撃してこいや」
そう言って仁は両腕を広げ、口角を吊り上げ挑発する。
「……良いだろう。ファイアーボール!!」
巨大な火球は高速で放たれ、仁に直撃して爆発した。
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