大きな、大きな予兆

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小星メド 陽光を受け、一人の女性が落下してきた。物凄い空圧により短く黒い髪は上へと逆立ち、着用している青い服は細身の胴、長い両手足にぴったりと張り付いている。とても目を開けていられる状況ではないが、女性の黒い眼は二つとも、力を入れている風でもなく自然に無理なく開かれていた。そして彼女の目に地上が、次いで小さな湖が迫ってくる。デルガは少し息を吸い込んだ。 シュパ―――――ン 綺麗な音を立てて、デルガの身は頭から湖中へと入った。落下の勢いにより彼女の身は湖底まで到達しようとした。そこでくるりと体勢を入れ替え、両足を底につけ踏ん張り、湖面を見て底を蹴った。 勢いよく垂直に浮かび上がった彼女の肉体は、そのまま湖面を突っ切った。 湖水を浴びたデルガをきらりきらりと陽光が照らす。ゆったりとした飛翔、彼女の身は緩やかに回転し、そのまま目の前の陸地へと降り立った。 「ふう」     
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