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第一章
クドラの母星ジアン
巨大な岩々を削って作られたジアンの首都ルドゥガ。屋根が尖塔型の建物が無数に立ち並ぶ。風は建物の隙間を涼し気に吹き抜け、地面と壁に薄く積もる砂を舞わせる。多くの人々が行き交う中心部には、数々の屋台が立ち並び、色とりどりな食料品、服、日用品が並ぶ。街外れの小高い丘には巨大な円形の訓練場があり、若い男女が厳しい表情でクドラとしての力を磨き、子供たちが初歩的な能力開花の手ほどきを受ける。街を抜けると、ルドゥガを取り囲むように広大な緑地が広がっていた。その間を動脈のように太く流れる河川。その向こうには、ひと際大きな塔がありルドゥカを見下ろしている。それはジアンの気候安定のためにカマンの居住する塔レニア(救世主の意)であった。
デルガは部下のカノーダを連れ、クドラ上層部の住まう建物ルキンへと歩いていた。
「心配しました」
デルガの横顔を窺うカノーダ。浅黒い肌、つぶらな両目、頭巾を被り長い黒髪を背に下ろしている。速足で歩くデルガ、その目は厳しい。
「ずっと待っていたのです、あなたからの通信を」
デルガは歩調を緩めた、カノーダを優し気に見る。
「ありがと、私は無事だったけど」
「従者ですか」
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