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第二章
陽光が揺れる、雲がうごめく、大気が震える、風が渦巻く。喜びを表現するかのように、興奮しているかのように、歓迎するかのように。
それらは合わさって、頭上高く、地上の一人の女の回りを取り囲んだ。女は杖を振り上げた。途端に風が上昇した。周囲の木々が、草花が激しくざわついた。同時に頭上の雲が、ゆっくりと密集していく。女の周囲で光が遮られ、大きな影が出来た。大気は湿り始めた。
「こおおおおおおおお」
女の口から詠唱のように声が発せられる。空を見上げ杖の先端を向ける。先端には黄色く光る水晶ハリジャがはめ込まれている。その色が暗くなった。そこから一瞬細い光が発せられ、空へ向かった。
「ほぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーふぉぉぉぉぉおぉぉ」
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