特訓

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特訓

 実はヒロインが魔法を覚えて、一番強くなれるルートが悪徳令嬢に教わる事で、裏ルートで戦う事になるモンスターを、唯一倒せるまでになるのだ。  通常課外授業で現れるモンスターは、誰に教わっても倒せるから、誰しも攻略対象に教わるだろう。 「凄い。流石ローズお姉様!」  私自身は魔法を初めて使うのだが、私になるまでの人生経験は身体が覚えていた。  学園から我が家に帰り、庭に作られた練習場で手本を見せるために魔法を行使したのだ。  案山子に向かって放った魔法は狙い違わず当たり、消し炭へと変えた。  悪徳令嬢のポテンシャル、半端無いです。 「先ずは魔力を感じる事から始めましょう。手を繋いで私が魔力を流すから、違和感を感じ取って頂戴」  手を繋いだ私は魔力を操作して、マールの手を伝って循環させる。 「あ、感じました。私の中に変なモノが通っています」  流石は主人公、一般人では一生気付けない魔力を直ぐに感じ取れるなんて。 「それが魔力よ。今度はマールが魔力を操作してごらんなさい? 今感じた流れを、逆回しにする様にして」 「はい! ・・・ん、んむぅ・・・ぐぬぬ!」  10分程経過した時だった。  魔力の流れが、逆回しに変化した。 「マール、出来たじゃない。素晴らしいわ」 「自分の中にある魔力を、操作する感じが掴めました!」 「次は指の先に、その魔力を集中してごらんなさい? そうね、ロウソクを灯す様にして」  手を離してマールが指先に集中し始めるのを見て、見本をみせる。  ライターと言っても通じないだろうからロウソクと言ったが、自分はライターを使う様にして指先に火を灯す。  それを見たマールが真似をする様に、更に指先に集中する。 「っ! 火が灯りました。やりました、ローズお姉様!」 「よく出来ました。今度は掌に乗る様な、火の玉を出してごらんなさい?」  マールの頭を撫でながら、掌に火の玉を生み出す。 「頑張ります!」  難易度が上がった為、その日の内に成功する事は無かった。  令嬢生活二日目が終了。  学園生活は割愛して、家に帰れば魔法の特訓。  日は流れ、三日目で火の玉を出せる様になった。  四、五日目は火の玉を放つ練習に明け暮れ、六日目でやっと魔法が飛ばせる様になった。 「魔法陣は一番簡単なのを覚えましょう。先ずは見ていて」  手を前にかざして、魔法陣を展開する。  効果は威力向上、駆け出しの魔法使いが始めに覚えるものである。  展開される文様も、一文字に近い簡単な文様だ。  掌から火の玉を打ち出す。  魔法陣を抜けると火の玉が肥大して、二周り程大きくなる。
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