攻略対象

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 魔道書を受け取った後に店内を回ると、予想通り魔術講師とマールが会話をしていた。 「ベルモーセス先生、御機嫌よう。マールも良い魔道書は見つかったかしら?」 「やあ、ローズ君。彼女と知り合いだったのかい? 僕は明日からの学園で利用出来そうな魔道書を、物色しに来ていたんだ」 「ローズ様、此方の方が私に合った魔道書を選んでくださいました。学園の先生だったのですか?」 「入学試験の際に、私の魔法を見ていた方がベルモーセス先生でしたわ。先生、彼女は明日私と同じ学園に入学されるマールさんです」 「魔術講師のベルモーセスだ。明日から学園で一緒に学ぶ者として、君を歓迎するよ」  イケメンスマイル頂きました。  自分だけに向けられるこの笑顔に落とされた、女性達は数知れず。 「ありがとうございます。よろしくお願いします!」 「先生はまだお忙しいでしょうから、私達はこれで失礼いたします。明日また学園で」 「ああ、僕はまだ魔道書の物色が済んでいなかった。さようなら、二人共」  マールの持っていた魔道書を購入した後、離れた喫茶店へ向かう事にした。  何故ならそこにはもう一人の攻略対象が来店しているからだ。  監視者は本当に優秀ですね。  流石は王宮護衛部隊の出。  もしゲームで誘拐イベントが存在していたなら、彼も攻略対象だったでしょうね。 「お隣よろしいかしら、ハイネス様。席がここしか空いていない様なの」  予めサクラを用意して貰った。  カップル達はデート代が浮いてハッピーだろう。 「やあ、ローズ君、丁度席は空いていたからどうぞ。君が誰かを連れ歩くのは良くある事だが、彼女は見た事がないな」 「当然ですわ、彼女は今日街に来られたばかりですもの。先輩、彼女は私と同級生になるマールさんですわ」 「ミード・セルジオ・ハイネスだ。学園へようこそ、私は生徒会長をやっている。困った事があったら私を頼りたまえ」  眼鏡イケメン。  クールビューティーな彼には男女問わず、視線が集まるカリスマ性。 「ありがとうございます! お願いします」  後は王子と会えれば完璧だけれど、そんな都合良くはいかないか。 「オイ。態々人を呼び付けたのは、両手に花の状態を見せ付ける為だったのか?」 「まさか、彼女達とは偶々席が空いていないので、同席しているだけだ。明日の入学式について話をしておこうと思ったから呼んだんだ」  王子来たー!  ゲームでは明日の入学式で、新入生代表として挨拶をする事になっていたが、お店で打ち合わせが有ったとは。  又とないチャンスだ!  本来なら入学後の夏休み迄に王子を攻略していないとお城に入れないのだけれど、幼馴染みである私と一緒であれば、マールを城に入れるのは容易い。
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