273人が本棚に入れています
本棚に追加
期末試験
「温泉地ではその範囲から更に絞り込みますから、覚える所は山程有りますよ? 少しずつやって行きましょう!」
「帰りの馬車でも復習しなければ忘れてしまいそうだ」
早速馬車の中で勉学に励むカール。
ここ最近成績が伸び始めており、今度の期末試験は上位に入るかもしれない。
「ローズは、勉強しなくて大丈夫なのか?」
「ご安心下さい、予習も既に終えています。試験前におさらいする程度ですわ」
「頭の出来が、違い過ぎる・・・」
予習の回数が、ゲームの攻略対象全員分ですから、暗記に近い程頭の中に入ってますわ。
一日目の野営の準備中、予想通り従者に殆ど任せて手持ち無沙汰の生徒が、同じく暇している生徒と雑談を始めていた。
「ローズ達は、自分達で設営しているのだな」
「ミード先輩の方は、どうされているのですか?」
「道中馬車で退屈していたワーゼが、設営は任せろと一人で準備している」
「若者達の会話に付いて行けなかったのですわね、叔父様は」
「本当なら彼に質問したがっているクラスメイトが居たのだが、狸寝入りしていたぞ」
「結局ハンデを貰っておいて勝てたのは魔法戦だけだったな、ローズには」
「来年は、ハンデ無しで戦いますか?」
「そうありたいが、勝てる未来が見えない内はハンデを継続してくれ。卒業迄にはハンデ無しで挑める様に努力しよう」
「その日を、楽しみにしております」
「カール。秋の期末試験は筆記が中心だから、気を引き締めておけよ」
「解っている。夏の実技が中心だった期末試験は難を逃れた感じだったが、秋の期末試験で筆記もちゃんとやれる事を証明してやる」
「その粋です、カール兄様!」
「夏は実力の無い者を振い落とし、秋はやる気の無い者を振るい落とす。学園長は、やる事がえげつなさ過ぎだ」
「試験範囲が広いのは、学園長の差し金でしたか・・・」
「今年の生徒は皆優秀で羨ましいよ。去年の私達は極端でね、半数以上が学園長の犠牲にされたよ。代わりに残った生徒はとても優秀だったから、今の生徒会のメンバーは私を含め2年生が多いんだが」
「心中、お察しします」
「冬はその分イベントが盛り沢山になって、勉学に励む暇がない位に忙しくなるぞ」
「それは楽しみですわね」
ゲームではこの後、魔族の侵略でそれ所では無くなっていた。
先が見通せない今は、どう転ぶか解らなくなっている。
但し、魔王様とのフラグだけは手段を選ばず回収して、無理矢理にでも裏ルートへ進みますが、何か?
最初のコメントを投稿しよう!