秋のある日

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   それから優介の日課に、楓の家へ遊びに行くことが追加された。彼女は決まってウッドデッキに座っていて、彼が訪れると笑顔で迎える。  二人並び、景色の移り変わりを見ながら雑談をする日々が続く。  優介は晴れの日も、雨の日も、雪の日も楓に会いに行き、学校であったこと、家での出来事を体全体を使って話す。そして楓は、いつも笑顔で彼の話を聞いていた。  そんなある日、優介は楓に尋ねた。 「なあ楓。なんで学校に来ないんだ?」  それは優介がずっと不思議に思っていたことだった。同じ地区に住んでいるはずなのに、学校で姿を見たことがない。その理由が、彼には分からなかった。  楓は少し困ったような表情を浮かべる。 「……私ね、体があまり強くないの。すぐに風邪ひいちゃうし、咳が出ちゃうんだ。だから、学校にはいけないの」 「ふーん……。じゃあ、外で遊べないんだな」 「うん……。本当は外に出たいんだけど、お父さんとお母さんが心配するし……」 「そっか……」  健康な優介にとって、楓の境遇は理解できなかった。それでも、外に出たいという彼女の気持ちは分かる。  彼は立ち上がり、両手を広げた。 「……じゃあさ、俺が連れてってやるよ!」  楓は彼を見ながら、「え?」と声を漏らす。 「いつか絶対、一緒に海に行こうよ! そんで、思いっきり遊ぶんだ!」 「で、でも……」 「大丈夫大丈夫! 俺に任せとけって!」  彼女の不安は、優介の太陽のような笑顔に吹き飛ばされる。  だからこそ、彼女もまた、笑顔を見せた。 「……うん! 分かった!」
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