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気が付くと、部屋は薄暗かった。 どうやら泣き疲れて眠ってしまったみたい。 時間を確認しようとしてスマホを手に取ったけど、そういえば電源を切ってしまっていたんだ。 「別れちゃったんだ」 電源を入れながら、涼太との会話を思い出す。 夢でも見ていたんじゃないかと思うぐらい現実味がないけれど、ひどい頭痛と、腫れぼったい瞼の重みが証拠だよね。 なかなか起動しないことに軽く苛立ちを覚える反面、涼太から何か連絡があったんじゃないかと怖くなって、スマホから目をそらす。 何やってんだろうなぁ、私は。 あんな風に電話を切ったら怒らせるに決まってる。 私を責めて罵るメールでも来てるんじゃないかと思うと恐怖で震えそうになる。 今は涼太の名前の文字を見るのも嫌だと思ってしまう。 こうなってしまった原因は自分なのにね。 小さく一度バイブが震えて、スマホが立ち上がったことを知らせる。 恐る恐る画面を見ると、時計は丁度17時を示していた。 そのまましばらく待ってみたけど。 着信履歴を確認したり、メールの新着問い合わせをしてみたり、SNSもチェックしたけど。 涼太からは何もなかった。 「なんだ、そっか」 空しいなぁ。 こんな状況なのに、私はまだ何かを期待していたのかな。 もしかしたら、優しい言葉をかけてもらえるかも、なんて、さすがに虫が良すぎるよ。 またしても涙が浮かんできたけど、歯を食いしばって耐える。 ここで泣いても体がしんどくなるだけだ。 ――お前さ。ソレ、言い訳にして甘えすぎなんだよ。 そうだね。 PMSのせいじゃない。 元々の私が弱いから魔王様に負けるんだ。 もっとしっかりしないと。 もっと強くならないと。 もっと、ちゃんと。 もっと、もっと、もっと。 「ダメだ、このままじゃ変になる」 思考の渦に飲みこまれそうになるのを、かろうじて遮る。 今日は排卵日で。魔王様に襲われていて。ちゃんと寝てなくて。彼氏と別れてしまって。部屋もどんどん暗くなってきていて。 こんなときはまともな思考回路じゃないから、これ以上モヤモヤと考え続けても体が辛くなる。 明日は仕事もあるんだし。 こういうところが甘えてるのかな。 いろんな言い訳をして逃げてるのかな。 「でもさ! じゃあ、どうしたらいいのよ!!」 そう叫んでも、もちろん答えてくれる人はいない。
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