餌付け

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今日はキーマカレー。 残ったカレーはご飯に包んでおにぎりにした。 で、にやにやした先輩二人が私にそれを持たせる。 「先輩が渡せば良いじゃないですか」 「いやいや。ほら、待ってるだろうから早く行きなよ。今日は何作るの?って期待してたから」 二人は自転車通学だからバス停には来てはくれない。 「そんなぁ……」 いつもは先に並んでいた坊主頭四人が、今日は居なかった。 もう帰ったのかな、とほっとするよりも少しだけ残念に思う自分を慌てて取り消す。 バスが来る前に彼らが走って来て私の後ろに並ぶ。 『好きになるきっかけなんて……』 だから、違う! 「あの、これ。牧野先輩と平田先輩からです」 まだほのかに温かい大きめのおにぎり四つをぎこちなく差し出す。 「え?あ、ああ。サンキュ」 いつもの満面の笑みではなかったけれど、やはり空腹ではあったのだろう。 バスが来るまでの短い時間にガツガツと頬張る。 今日はちゃんと一人一つのおにぎりが当たって良かったね、と他のみんなも嬉しそうに食べている姿につい目を細めた。
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