104人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
今日はキーマカレー。
残ったカレーはご飯に包んでおにぎりにした。
で、にやにやした先輩二人が私にそれを持たせる。
「先輩が渡せば良いじゃないですか」
「いやいや。ほら、待ってるだろうから早く行きなよ。今日は何作るの?って期待してたから」
二人は自転車通学だからバス停には来てはくれない。
「そんなぁ……」
いつもは先に並んでいた坊主頭四人が、今日は居なかった。
もう帰ったのかな、とほっとするよりも少しだけ残念に思う自分を慌てて取り消す。
バスが来る前に彼らが走って来て私の後ろに並ぶ。
『好きになるきっかけなんて……』
だから、違う!
「あの、これ。牧野先輩と平田先輩からです」
まだほのかに温かい大きめのおにぎり四つをぎこちなく差し出す。
「え?あ、ああ。サンキュ」
いつもの満面の笑みではなかったけれど、やはり空腹ではあったのだろう。
バスが来るまでの短い時間にガツガツと頬張る。
今日はちゃんと一人一つのおにぎりが当たって良かったね、と他のみんなも嬉しそうに食べている姿につい目を細めた。
最初のコメントを投稿しよう!