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「あ……。あの、良かったら食べますか?クッキーなんですけど、少ししかありませんが」
「え、うそっ!マジで!?食う食う」
多分犬のように彼にも尻尾が付いていたなら全力で振っているであろう喜び方に、ついつられてこちらまで笑ってしまった。
カバンからレースペーパーとマスキングテープで可愛くラッピングした透明の袋に入れられたクッキーを取り出した。
「え、これ、ほんとに俺が食って良いの?可愛く包んでるから誰かにあげるんじゃ……」
「あ、いえ。特にそういうわけじゃないんです。ただ、その方が可愛いからしただけなので」
「うわー、旨そう。あんた、家庭科部?」
「あ、はい。そうです」
「じゃ、牧野とか平田とかと同じ?」
それを聞いて、彼が二年生だと分かった。
「はい」
そう答えたところで丁度バスがやってきた。
「これ、サンキュ。味わって食うから」
満面の笑みに、あげて良かったと思った。
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