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もしかして、迷惑だったかな……。
いつも美味しそうに食べてくれるから、どこかで調子に乗りすぎて居た自分が今更急に恥ずかしい。
「あ……サンキュ。え、でもこれ、なんで? さっき牧野達に聞いたら、今日は縫い物だから何も作らないって言ってたのに。だから何も当たらないと思って……」
「あ、今日うちのクラス調理実習だったので、もしかしたら食べるかなって思って……」
段々と声が細くなる。
「余計な真似して、すみません」
力無く一礼して私はバス停まで駆けた。
明日からもう、あげない方が良いような気がした。
私が彼の事を好きと、勘違いされそうで。
ただ、いつも美味しそうに食べてくれるから……。
そう思って、気付いてしまった。
『好きになるきっかけなんて……』
そうか……。
これが恋なのだ。
料理を作るたびに彼の事が頭に浮かんだ。
……そうか。
これが、恋なんだ。
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