餌付け

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餌付け

「あー、腹減った!もう動けねえ」 一際大声でしゃべる坊主頭。 見知らない顔だから、多分上級生なのだろう。 その後ろに並んでバスを待つ。 「あれ?……なあ?なんか良い匂いしないか?旨そうな匂い。甘い匂い」 その坊主頭が鼻をクンクンいわせながら隣に並ぶ坊主頭に話し掛ける。 彼が後ろを振り返った途端に私と目が合った。 「……あ」 私のカバンの中にはクッキーが入っていた。 でも、それからの匂いではなく多分家庭科室いっぱいに広がった甘い匂いが私の制服や髪に付いてしまったのだろう。 家庭科部といっても、メインは料理。 その中でも私が好きなのはパンやお菓子を作る事だった。 で、今日はクッキーを作った。 オーソドックスなバタークッキーからココアパウダーを使ったものや、ごまときな粉を練り込んだもの。 アーモンドパウダーのも美味しかった。 その残りがカバンの中に入っていた。
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