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この人相が、もう少しマシであったなら私は……今とは違う、別の生き方が出来ていたのであろうか?と。
内心、どんなに良い人であろうとしても、残念ながら多くは外見で、時にひどい事には外見だけで人は、私と云う人柄を判断する。
料理長もそれは同じだったかもしれない。
顔や姿勢、そういう外見だけで私というものを分別した。
というか、料理長に拾われた当時私は、顔相当の『悪人』だったのかもしれない。
料理長に即座見抜かれた通りだ、ましな生活を送っていなかった。
送れなかったのだ。
それが人相の悪さの所為である事はうすうす感じていた。だからって、改善したくとも改善しようがないだろう?だから少しぐれてもいただろう。
そんな私の外見から、その根底にある問題を穿ち、そうした上で手元において厨房で働かせてくれた。
同僚達はみな私を疎んじ、みんなが嫌がる雑用ばかりをやらされた。
私は、料理長から拾われた事を感謝していたから、嫌な仕事でも不平を零さずこなしたつもりだ。だが人相の悪さ故に何も語っていなくても常に不機嫌なのだと思われているのか、人に喜ばれる事をしているつもりなのに一向に、そういう理解はしてもらえなかった。
なかなか火元には近づけてくれなかった。
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