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「あなた、先日、頭を強く打ったらしいじゃないの。
それから、行動が変だと情報を貰ったわ」
ゆっくりと上品にお茶を飲みながら、目だけは私をとらえて、離さない。まるで獲物を狙う野獣のようだ。
この部屋は私の部屋で、いつもはくつろげる家具たちがそっぽを向いているみたいで、すべてヴィ伯母様の部屋のように感じる。
「やっぱり思い出したのね。前世を……」
ゆったりと口角があがった。真っ赤な唇は魔女を思わせた。
「あなたは、幼い頃にはっきりと前世の記憶があったの。でもね、小さい頃にその記憶があると、この世界に生きずらいでしょ。だから、18歳成人するまで封印しておくことにしたのよ」
記憶を封印って乱暴な!
「私たち、男爵家には前世持ちが産まれてくる確率が多いの。それに前世持ちを保護しているわ。
封印は18歳の時に本人の意思で外すか、または、強い衝撃で壊れてしまうこともあるわ。あなたの場合は、後者ね」
ため息のように言われた。
好きでそうなったわけじゃないのに……
けっこう、地味に痛いんですよ。今でも!!
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