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寮に戻ると……
私の部屋で、優雅にお茶をしている伯母が居た。
ヴァイオレット・ダン・ヴィネ夫人、ヴィ伯母様と呼んでいる。
菫の名前にふさわしい紫茶色の髪はシンプルにまとめられて、灰色かかったモスグリーンのドレスを背筋がぴしっと伸びている。
彼女の鋭い眼光に逆らえるものなどいない。
私の侍女のナンシーはすくんだように、隅に置きものようにたたずんでいる。
すでに息子を三人も産んでいるのにかかわらず、細いウエストに手をあてて……
「ダリア、何を思い出したのか、教えてごらん」
ほらね、逆らない。
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