ねこまた

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 彼は小さい頃、猫を飼っていた。  住んでいたアパートの近くに捨てられていた猫だった。  当時、彼の家は母子家庭で、今思えば猫を飼う余裕はなかったのかもしれない。  けれど彼の母は大家さんに許可を取って、飼うことを了承してくれた。  彼には歳の離れた姉がいて、姉も猫が家族になったことを喜んだ。  ソラと名付けた猫は、おとなしく人懐っこかった。  困ったいたずらも度々やらかしたが、姉弟はソラをとても可愛がった。  ソラはあっという間に大きくなり、よく散歩に出かけるようになった。  しかし、数年経ったある日のこと。  ソラが突然いなくなってしまった。  散歩に出ても帰ってこないことはなかったので、方々捜し回ったが見つからない。  どこかで迷子になったのかも、人懐っこいから誰かに連れて行かれちゃったのかもしれない。  それとも……。  最悪の事態が頭をよぎり、彼はすっかり落ち込んでしまった。
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