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それから十年以上経ち、彼が大学生のときの話である。
その頃彼は実家を出ており、寮で暮らしていた。
ある夜、彼はバイトの帰りに事故に遭った。
深夜、人通りの少ない道での轢き逃げだった。
近隣住民の通報で病院に搬送されたが、強く頭を打ったためか、意識が戻らなかった。
駆けつけてきた家族は、包帯だらけで人工呼吸器に繋がれた彼を見て、絶望的な気持ちになったそうだ。
もっとも、彼はこのとき生死の境をさまよっていたので、すべて後になって知ったことだ。
昏睡状態にあった彼は、夢を見ていた。
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