2人が本棚に入れています
本棚に追加
目が覚めたとき、彼は自分が何故ベッドの上で動けなくなっているのかわからなかった。
頭がぼうっとして、夢か現か曖昧だった。
視線だけを巡らすと、傍らで姉が、うつらうつらとしているのが見えた。
「姉ちゃん」
そう呼びかけたつもりだったが、ほとんど声にはならなかった。
しかしそんなかすかな声でも、気を張っていた姉には十分だったらしく、ハッと目を覚まして彼を見た。
「よかった、気がついたのね……!」
安堵の息を吐き涙ぐむ姉に、彼は言った。
「姉ちゃん、俺、ソラに会ったよ」
姉は目を丸くした。それを見て、彼は笑った。
「昔、姉ちゃんが言ってたこと、ホントだったのかもね」
彼が見たソラの長い尻尾は、きれいに二股に分かれていたそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!