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この話には、少し奇妙な後日談がある。
彼を轢いた轢き逃げ犯は、一週間もしないうちに捕まった。
中年の会社員の男だった。
電柱に激突する自損事故を起こし、調べていくうちに、彼を轢いた犯人とわかったそうだ。
実はこの男、他にも数件轢き逃げをしていたというのだから呆れる。悪運が強かったのか何なのか、よくもまあそれまで捕まらなかったものである。
大怪我を負い、病院に運ばれた犯人は何故か酷く怯えていたという。
後日、警察が事情聴取をしたところ、犯人はわけのわからない供述を繰り返した。
「フロントガラスにたくさん猫が張り付いて、それを振り落としていたら電柱にぶつかった」
しかし事故現場には、動物の死体などは見つからなかった。
ただ、ひしゃげた犯人の車には、無数の獣の爪痕のようなものが残っていたという。
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