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「どうしてわかったの?外見も変えてるし、雰囲気だって全然違うはずだし」
「ファンですからね。いくら変えても仕草や声は結構そのままですし」
「なるほどね。申し訳ないけど、このことは学校とか友達とか、内緒にしておいてほしいんだけど。大丈夫?」
「内緒にします!それにしても、学年1位で、どうせ勉強しかしてない真面目な人なんだろうなと思ってたんですけど、こんな一面があるんですね」
「勉強だけできても人生の成功者とは呼べないからね。名前は?」
「姫野 理子(ひめの りこ)です!」
「理子ね。んー……」
「どうしたんですか?」
漣は何か少し悩んでいるような素振りを見せた。
「ばれたついでと言ってはなんだけど、一つお願いしたいことが。嫌なら断ってくれて構わない」
「わたしにできることなら!」
「単刀直入に言う。俺の彼女になってくれない?」
突然のまったく予期しない告白に頭が真っ白になった。
「え、な、なな、なんですか!?いきなり!」
「いや、この2つの生活を他人に知られるのが面倒くさくて今まで彼女作ってこなかったからさ。理子が初めての存在なんだよね。俺のもう一つの姿、グレンと付き合ってほしい」
「グレンと……?」
「漣としては付き合えないからね。お互いに恋愛禁止の特進だし、いきなり学校1位の俺と1年の理子が付き合うのは、理子にとってあまり良いことにならないと思うんだ。これから3年間の理子の学校生活的に考えて。あとは理子が好きなのはグレンだから、まあ、グレンの時の俺と付き合えれば、理子にとってもそれが一番いいのかなと」
「うーん、いや……まあ……うーん」
なかなか返答に困る投げかけである。素直にうんとは頷けない。
「何事もやってみないとわからないさ。どうする?」
「まあ……そうですよね。では、えーと……よ、よろしくお願いします」
「じゃあ今日から恋人同士ね。わかってると思うけど学校ではまったくの他人だから、そこはしっかりとしてほしい。俺からも話しかけることはないから」
「は、はい。大丈夫……です」
こうして奇妙な関係が始まった。
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