2 不思議くん。

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「……アンタは、ここで何してたの?」  何となく頬を擦ってから聞いた。  南の視線が空に外れる。  また無視か。そう思ったとき、南がポツリと呟いた。 「写真」 「へ?」 「バスケしてるときに窓から射した日が綺麗で興味あったから」  途切れ途切れの言葉に首を傾げる。  南の近くにスマホが転がっているから、スマホで空の写真を撮っていたっていうことだろうか。それにしてもバスケしながら日の光に興味って……。  もしかして、南って結構不思議くん? 「ふーん。そうなんだ。どんなの撮ったの? 見せて?」 「…………」  あ。これ、見せてくれないパターンだ。  無言でスマホをジャージのポケットに仕舞いだした南にじとっとした視線を送る。  別にいいけどね。 「はぁ~。でもここって気持ちいね。案外穴場かも」  ショートホームルームが終わって友達とお喋りする楽し気な声や足音が遠くから微かに聞こえる。  空を見上げたら雲一つない快晴で、時折流れる風が心地いい。 「写真撮りたくなる気持ち、何となくわかる」  堪能するようにそっと目を閉じた。 「また寝んの?」 「寝ないし。またってなに……っ!」  ドキッと胸が跳ねた。  あれ? 今一瞬、笑っ、た……?  思わず目を擦る。  目を開ける。  南、無表情。  あれ?
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