2 不思議くん。

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「ポニーテール」 「ふえっ!?」  南の脈絡のない発言に咄嗟に結び目を押さえる。  この間もそうだけど、南はやたら髪型関係で意地悪してくるから、また何かされるんじゃないかと条件反射で後ろで結んだポニーテールを庇ってしまった。  別に南は「ポニーテール」とただ言っただけでまだ何もしていない。  でもそんな「うわ。何こいつ。うざ」みたいな顔する権利、アナタにありませんから。今までの行いですから。  アイツの今までの行動。絶対にこれからこの髪型を崩しにかかってくる。でも南、今日の私は動じない。崩すなら崩してごらんなさい。  私は無言でゆっくり上げた腕を下ろした。 「どうぞ?」 「……は?」 「どうせぐちゃぐちゃにするんでしょ。やるならやれば?」  差し出すように自らテールを揺らして近づく。 「体育の為に適当に結んだだけだから思う存分やっていいよ~」 「…………」  ふっふっふっ。頑張ってやった髪型じゃなきゃ崩されても痛くもかゆくもないもんね~。  いつもやられっぱなしだけど、今日はそうじゃない。  南に勝ったような気がして嬉しい。  私の方が一枚上手。そう思ったときだ。南のため息が聞こえ、 「ガキ」  立ち上がった。
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