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「え、あの時の女の子ってキミだったの?」  話が終わった後の先輩の一言。 あの日から、髪の毛は黒く、縮毛矯正をかけて眼鏡からコンタクトにして、身だしなみも清潔感が出るようにたくさん努力したのだ。  わからなくても無理はない。何よりも、先輩がその出来事を覚えていてくれたことが純粋に嬉しかった。 「あの日から、私は自分を傷つけるような単語は口にしなくなりました。先輩のおかげですごく前向きになれて、自分の意見を真っすぐ伝えられるようにもなって、友達もいっぱいできたんです」  あと、その日がきっかけで、私も王子先輩みたいに、虐められている子を助けたり、苦しんでいる人の力になれるような存在になりたくて風紀委員に入りました。  私が話している間、先輩はずっと驚きながらも丁寧に相槌を打ってくれていた。 そして最後に、頑張ったね、人間が変わるのってすごく大変な事だと思うよ。そう優しい言葉をかけながら、あの日のように頭を撫でて褒めてくれる。
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