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話は昨日の放課後に遡る。
私は下駄場に手紙という何とも古典的な方法で王子先輩を呼び出した。
場所も裏庭と絶好のスポットで、私は今日、一世一代の決心を抱えて彼と相対している。
「キミ、たしか一年生にして風紀委員長にまで上り詰めた子だよね?」
色素の薄い金髪の髪を梳きながら先輩が問いかける。その問いに首を縦に振ると先輩はそんな君が僕に何の用?と要件を促した。
私は単刀直入に申し上げます。と前置きをすると、ひとつ深呼吸をして口を開く。
「王子先輩、好きです!私と付き合って下さい」
緊張で汗ばむ両手で制服のスカートを握りしめながら、胸中を曝け出す。
ストレートな黒髪、一番上までボタンの留められたワイシャツ、膝下まで伸ばされたスカート。
風紀委員代表として生真面目を体現したような装いの私から、まさか告白を受けるとは微塵も思っていなかったらしく、王子先輩は目を見開いて表情を固めていた。
「……学園の風紀を守る代表が、僕が好き?つまり、<お付き合い>したいって事?」
私は彼の言葉に頷き返す。
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