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吸血鬼と最後の騎士
今の生活を苦に感じたことは一度もなかった。
僕の名前は海崎伊知朗(うみざき いちろう)。どこにでもいそうなごくごく普通のニンゲンである。
職業はフリーター。特に不良だったわけではないが高校を中退してそれから数年フリーターを続けている。
趣味は読書。稼ぎの少ない僕にとって読書は唯一の暇つぶしだ。たまの休みに本を求めて古本屋を歩いたりしている。
そんな僕は幸せに見えるだろうか。
以前、昔の友人に「そんな人生で楽しい?」などのような言葉を吐かれた。
昔から口が悪く僕に対してもよく棘のある言葉をいう奴だった。
彼は決して性根が悪い奴ではないし、口にする言葉も棘はあるけどきちんと僕のことを思ってのことだ。
僕はそんな優しい友人にこう言い返した。「幸せだよ」と。
確かに僕ははたから見れば低所得者で最下層な人間だ。それにフリーターと言っても一つのバイト先すら長続きしない僕だ。
何かに夢中になれるようなニートの方が圧倒的に幸せだと思われるであろう。
しかし、僕は幸せだ。誰がどんな表現で僕が幸せでないかを説明しようとも僕は幸せである。
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