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華奢な身体に張り付いたドレスが小刻みにゆれる。あたふたしている後姿が女の子らしくてかわいい。
魂が男だった頃の彼女は、こういう点を指摘すればムキになって怒っていたものだ。三日戦争のどさくさで心身ともに女になった今は、素直に喜んでくれる。
「確かに、転送ビームでマグロを強奪できる規模の宇宙船が侵入してきたら、この星の磁場や重力場が乱れるはずだわ」
グレイスの助言にしたがって、QAXのログ・ウインドウをいじっていたコヨーテが首を振る。
「たしかに影響らしきものはあるけど、誤差の範囲よ」
犯人捜しは振出しに戻ってしまった。シアも愛婦の疑いたくないので顔を曇らせた。
外部犯行を否定せざるを得なくなった以上、どうやって平静を保てばいいのか。もう今回の件は不問に付して、マグロの調達に注力した方がいいだろう。隠し事の一つくらい誰にだってある。家族同士といえどプライバシーは尊重しなければならない。だが、ときおりむず痒くなる古傷のように禍根を残したまま、一家の平穏を保てるだろうか?
マグロの調達は容易ではない。中央諸世界の海で採れたマグロを分かち合うべしという、現女帝ラ・カイユの意思にしたがって漁獲量から流通量まで厳格に決められている。
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