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「光の加減でそう見えたのよ! しばらく放置したBZ液は反応が停まるのだけど、まれに反応が再開して黄色に染まるの!」
これは「長時間停止したBZ振動の復活」と呼ばれ、西暦二〇〇八年に日本の女子高生たちが発見し、科学雑誌に論文も載った。
「え、なになに? それってどういう邪力? エネルギー保存則とかに反しないの? その子って選ばれし戦乙女とか?」
こういう中二病設定が大好きなグレイスが目を輝かせた。
「それが、どういうわけか停止している間も、反応が続いていたかのような挙動をしめしているのよね。まるで、裏の世界からぶらっと帰って来たような」
シアが難しい理論をかいつまんで説明すると、グレイスが喰いつく。
「【裏世界】の関与かッ!」
「おねえちゃん、香ばしいアクセントで言わないでよ。はずかしい」
「つまり、コンピューターを省電力モードにしてずっと動かしっぱなしにしていた感じか?」
一家の良心ともいえるコヨーテが、フォローした。
「そうなのよ。そのBZ振動の復活も、なぜか女子がいる場所でしか起こらないのよね」
「裏世界の勅命を帯びし、さだめの戦乙女ッ!」
「やめなさい!」
「おか~さん、痛い~」
母娘がド突き漫才を演じている間、ソニアは自身の分身たるサンダーソニア号と脳波交信を交わして、艦のセンサー記録を再検討していた。
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