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動画が巻き戻され、今度はレポーターの指先がモニタいっぱいに広がる。角栓だらけだ。
「げぇ! いくら女を捨ててるからって、ここまで肌が荒れるかしら?」 シアが椅子から転げ落ちる。
「この手はクスリをやっている手よ!」
ソニアがテーブルから身を乗り出し、目をしばたかせる。そのまま、遠くを見るような表情になる。航空戦艦のデータベースを参照しているのだ。
「ハレルミンHよ! まちがいない。薬物常習者よ!」
「やっと、気づいてくれたかしら」
次女の反応にうなづくコヨーテ。
「おかしいわ。その薬は抗放射線剤としては副作用が大きすぎて流通すらしてないし、第一、服用者は数時間と生きられないのよ」
シアが、ハンターギルドの摘発対象品目を画面にスクロールさせる。
ブラックホールは通常、人体に有害なX線を放射している。シアたちのように放射能耐性のある者は別として、宇宙旅行者は副作用がないアンチレイの摂取を義務付けられている。
「とにかく、踏み込んでみましょう! もし、重大事件なら陛下も感謝祭中の捜査をお許しになるはずよ」
コヨーテのひと言で家族の顔が明るくなった。マグロの盗難は確かにショックだったが、立ち向かうべき敵が明白になりつつある。
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