何という瞬盗? 被害は冷凍マグロ十キロです。

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 皿に盛られた料理は見ているだけで胃液の分泌を促し、今宵の宴を引き立てる役割を十二分に果たしていた。  四人の美少女が折り畳みチェアにきちんと腰を掛けており、一家の民度をうかがい知れる。  衣食足りて礼節を知るというが、人間の欲求は五段階のピラミッド構造をしていて、生理的欲求はその底辺にくるのだそうだ。 「いいこと? 主記憶に刻んでおきなさい! 食事の席ではあたしが法律よ。逆らう子は餓死しますよ!」  フレイアスター家の事実上の主、シアは凛とした声でざわめきを制した。  はやる食欲を抑え、婦妻(ふうふ)と娘二人は括目し、手を合わせる。 「至高にして我らが(シップ)の慈悲ぶかき継母(ままはは)ラ・カイユ。御身の寵愛あまねく光とともに(そら)を満たさん」  シアが食卓の上に両手をかざすと、女たちがつぎつぎに手を重ね合わせて唱和した。「女帝陛下、いただきます(メリーユアハイネス)」 「さ?食うよ?。も?腹ペコ」 長女(グレイス)が鯉に似た丸焼きをナイフで切り分ける。 「わたしも?。お腹と翼がくっつきそう」 次女(ソニア)が海藻サラダをつつく。  みるみる食い尽す姉妹に負けじと、亭主(コヨーテ)がアツアツの肉をほおばる。     
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