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「何なのよ?? この感謝祭で忙しい時に」
目じりを揉みほぐしながらシアが画面を指でなぞり開封の求めに応じる。
差出人はハンターギルドであった。どうせ年末年始の「ハンター向けご奉仕特価」セールの案内だろう。
艦が読めというから読むが下らない内容に何度失望させられたことか。
「え?となになに? シア・フレイアスターさま。このたびは、ごいらいまことにありがと……うゲ!?」
彼女の棒読みは絶句で終わった。半ば浮かれたシアの顔がたちまち硬直する。あまりの予想外の展開に周囲の視界がぐるぐると回り、その場に倒れこむ。
「おか?さん、どうしたの?」
メインモニターの隅にソニアの心配そうな顔が割り込む。
「は……はひふへほ……じゃなかった……はん…はんたらしかくがしょうめつだって」
あまりのショックでろれつが回らない養母にかわり、事態を冷静に把握したソニアが姉に説明する。
「パンツ半額四角正月がどうした……こマ?」
普段は斜に構えているグレイスも目が点になる。
転送されてきたメールにはハンターライセンス剥奪の旨が通知されていた。
理由は依頼の自己発注。明確なルール違反である。
いかなる事情であれ、そのような行為を許したらギルドの存在意義がなくなる。
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