ホーキング輻射と感謝祭（メリーユアハイネス）

スパークリング・ハスタティ

　超生産能力・給弾制限突破！
　非人道的殺傷兵器使用規制　限界突破！
　敵同時追尾目標　限界突破！
　……荷電粒子兵器／人体有害電磁波抑制　限界突破……

　けばけばしいゴチックフォントが戦闘指揮所を飛び回り、厳重な安全装置を次々と解除していく。

「グレネイドグレイス・スパークリング・ハスタティ！」

　注意深く戦場を観察していた者がいれば、航空戦艦(かのじょ)が小刻みに短距離ワープを繰り返していたと述べたであろう。
　ＡＧの前可変翼にぶら下がった三十ミリ高速誘導榴弾砲がバリバリと火を噴く。
　急角度で伸びあがる紅蓮の濁流が迫りくるミサイル群を高々と跳び越え、敵高速艇のマストに降り注ぐ。

　古式ゆかしいレギオン戦法の第一手は、前衛の重装兵が槍を放擲する局面から始まる。ハスタティと呼ばれる若手の兵士が敵前衛を切り崩す。
　スパークリング・ハスタティ弾はミサイルを撃ち尽くして丸腰となった一隻を的確にとらえ、粉砕する。

　これで包囲網の一角が崩れた。司令塔を失い、狼狽する二隻の高速艇にも容赦なく鉄槌が下る。
　御者を失った敵ミサイル群は螺旋の半径をみるみる広げ、包囲網に接触する。