スパークリング・ハスタティ

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 艦載機を収容しおえたソニアが、銀色に輝くひときわ大きな艦影を量子レーダー上に見つけて注意を促す。 「カーマイン商会にベクター防衛保障。ハンターギルド創設期からの古参。正攻法から汚い手口まで効率よく使い分ける」  中二病者を気取るグレイスが諳んじて見せるまでもなく、善悪両面で名前が広がっている。 「とにかく勝たなきゃ明日へ命がつながらないわ」  檄を飛ばすシアの声がソニアの忘れていた古い心の傷を呼び覚ます。  三日間戦争の末期、彼女はあのドクタートランジットの艦隊と対峙した時にひるんでしまった。そのために、護るべき存在を失い、家族や仲間を瀬戸際まで追い込んだ。  歯を食いしばり、彼女は顔をあげた。もう、怖気づかない。 「ええ……」  言葉をあえて区切り、自他ともに認める称号を自身に言い聞かせる。 「あたしが誰だか思い知らせてやるわ! 三千世界最強の航空戦艦『サンダーソニア』よ!!」  レギオンの最終列では古参兵が混戦を避けつつ長槍で攻め込む。 「ロングレンジ・アーチレイ」  強襲揚陸艦シア・フレイアスターがマスト後部の収納ユニットを開く。     
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